• 『沖縄の在来家畜 その伝来と生活史』新城明久著 

『沖縄の在来家畜 その伝来と生活史』新城明久著 

ISBN978-4-89982-189-2

1,760円(内税)

定価 1,760円(内税)

購入数

A5判152ページ

人々は野生の生き物を飼いならし、それらから乳や肉、卵、役を得、農業への使役、狩猟や猛獣からの防御、害獣退治へと利用してきた。家畜は、私達の生活のなかで陰日向となり、深く人間の生活を支えてきたといえる。
各種機械類の発明発展による「脱畜力化時代」を迎えた現在、家畜の利用は縮小し、なかでも生産効率の悪い在来家畜は、隅に追いやられ、絶滅の危機に瀕している。
琉球列島には、馬、豚、犬、水牛、鶏、家鴨など多種類の在来家畜が飼われ、多様性が維持されているが、しかしながら一部の在来種は絶滅の途をたどっている。
「琉球在来家畜の保存と活用」を研究課題とし、四〇年以上にわたって取り組んできた著者が、シマの人々に愛されてきた在来家畜を紹介、その潜在能力を再評価しながら、あらたな活用の方法を探る。

【目次】

まえがき

第一章 在来家畜とは
一、家畜化の動機
二、在来家畜とは何か
三、一五世紀の琉球各島にみられる家畜
四、南からの農耕文化、北からの牛・馬の合流
五、琉球列島への家畜の渡来
六、方言名からの来歴
七、農耕の始まりについて
●コラム サトウキビ(甘蔗)と製糖法の導入
●コラム 与那国島の獣殺傷禁止期間(カンブナガ)


第二章 人々と深く関わった在来家畜
一、馬
 1.馬を知る
 馬の進化の経過と伝播/アジア馬の祖先/馬の毛色/馬肉・馬油・ 尾毛/
 琉球への伝播/馬とハブ毒
 2.琉球における馬の使役の変遷
 3.宮古馬の改良
 4.与那国馬
 5.馬を活用し楽しもう
 6.馬の行事
 7.在来馬とロイヤルファミリー
●コラム 遺伝のはなし 馬とロバの関係


二、豚
 1.豚を知る
 起源と伝播/豚肉の名称
 2.改良の経過
   アグーの復活
 3.アグー肉に対する高い評価


三、山羊
 1.山羊を知る
 起源と伝播
 2.沖縄における改良の経過
 3.肉用山羊
 4.乳用山羊
 5.闘山羊(ピージャーオーラサイ)
 6.台湾の山羊事情
 7.台湾における発情季節の制御
●コラム 間性(ホーダニ)の遺伝
●コラム 寝込んだ山羊飼い老婆
●コラム 山羊汁の山羊汁の効能
●コラム 多良間ピンダで島興し

四、牛
 1.牛を知る
 起源と伝播/ひれステーキとはどの部分
 2.沖縄における改良の歴史
 役から肉へ/乳用牛=酪農
 3.闘牛(ウシオーラセー)

五、在来鶏(チャーン)
 1.鶏を知る
 起源と来歴/属間交配
 2.沖縄の養鶏の変遷
 採卵鶏/肉用鶏:ブロイラー
 3.チャーンについて
 4.タウチー
●コラム 友引と鶏
●コラム チャーンとお年寄り

第三章  人々に愛された在来家畜
一、水牛
 1.水牛を知る
 起源と来歴
 2.沖縄における水牛の用途

二、琉球犬
 1.犬を知る
 起源と来歴/引っ張り合い
 2.琉球犬の特徴
●コラム 犬が化けた山羊

三、猫
 1.猫を知る
 起源と来歴
 2.沖縄の猫の特徴
●コラム 老人ホームと家畜

四、かんのんアヒル(広東家鴨)=バリケン
 1.アヒルを知る
 起源と来歴/ヘルシーなバリケン肉
 2.かんのんアヒルの特徴
 3.役用としての活用を
●コラム 薬膳料理法(クスイムン)

五、ミツバチ
 1.ミツバチを知る
 特殊な社会構造/プロポリス
 2.沖縄における養蜂の始まり
 3.花粉媒介者としての有用性
 4.ミツバチの大量死

六、野生動物からの家畜化の研究
 1.ミフウズラ
 2.ヨナクニハツカネズミ
   オキナワハツカネズミ

付録 畜産についての豆知識
参考文献および論文
あとがきに代えて



【著者略歴】
新城 明久(しんじょう・あきひさ)
現在:琉球大学名誉教授、データ・アナリシス研究所代表。
出生地:沖縄県宮古島市
最終学歴:東北大学大学院農学研究科博士課程修了
主な著書:『新版 生物統計学入門』(朝倉書店)、『新版 動物遺伝育種学入門』(琉大農学部)、『PC SASによる基礎統計学入門』(東海大学出版会)、『ノンパラメトリック法』(金城印刷)、『農業・産業活性化へのヒント』(新星出版)など。

■2010年9月27日 初版第一刷発行